拍手ログその1(7/22-8/31)





あー、あっちぃなぁ。
そう言って許可もなく家に上がり込んでくる。
三井はそういう男だった。
「なぁ、鉄男。ビールくれよ、ビール。」
扇風機の前に陣取って鉄男を顎で使う。
冷蔵庫から出したビールの缶を適当に投げると三井の上を飛び越えていった。
「バカ、ちゃんと投げろ。」
しかし三井はしっかりとそれを受け取っていた。
プルタブに指をかけ、思い出したように鉄男を見て、
「サンキュ。」
鉄男とは縁遠い、影のない笑顔を向けてくる。
三井のこの笑顔に、鉄男は参っているのかもしれない。

(もしくはこの暑さに。)






水戸は少し早い昼食を作っていた。
急に訪ねてきた三井に急かされたのだ。
その三井がキッチンに様子を見にきた。
「まだー?」
相当腹が減っているらしい。
「もうちょっとだから大人しく待ってろって。」
少しは手伝おうとか思わないのか、と喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
三井がそんなことを思うわけがない。

食事が済んでも、後片付けは勿論水戸の仕事だ。
むなしくなって溜め息をつくと三井が肩を叩いてきた。
「メシ美味かった。ありがとな。」
この言葉だけで、水戸の気分はすっかり持ち直してしまった。

(もう逃げられない。)






釣りをしていた仙道は背中に視線を感じて振り向いた。
「うわ、」
後ろに立っていた男が驚いて後ずさる。
「あ、危な…、」
躓いて倒れそうになる男を反射的に支えた。
「あー…びびった!お前いきなり振り向くなよ!」
「スミマセン、三井さん。」
言いながらも頬が緩むのがわかる。
「何笑ってやがる。」
だが三井は仙道とは対照的な顔をしていた。
仙道は慌てて頬を引き締めたが、三井は既に歩き出していた。
「三井さーん、」
「さっき、ありがと、な。」
三井が立ち止まらず首だけ動かして言った。
「…引いてるぞ、それ。」
早足で歩いていく三井の背中から、仙道は目を離すことが出来なかった。

(つれないひとだ。)





思い付いた順で。最後のカッコの中がタイトルです。
短くまとめようとして明らかに仙道に苦戦しています…。だいぶ削りました。
拍手ではミッチーにお礼を言わせると決めて書いてます。
そしてこれは全部夏の話で、と思ってたけど…無理だった…仙道はともかく…洋平が…。

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