ひもつき。 「あー、ひまー!」 三井のせいで余計狭くなった部屋に、鳴き声がこだまする。 「ひーまー!」 三井が勝手に買ってきて勝手に置いた、この部屋にそぐわない大きさの ベッドの縁から足が伸びてきて、鉄男の肩を突いた。 「ひま!しかも寒い!」 畳に座っている鉄男を足蹴にしたまま三井が吠える。 「寒いなら服を着ろ。」 もう秋だというのに三井はタンクトップと丈が長いだけマシかというぐらいの 明らかに夏物のパンツをはいて、夏真っ盛りの格好をしていた。 「着替えんのめんどくせぇ。ていうかひま。」 寒いと言ったのは自分なのに何も対策をしようとせず、しつこく肩を蹴ってくる。 うんざりした鉄男は肺の中に溜った空気を全て吐き出した。 どこぞの王様にでもなったつもりなのだろうか。 この馬鹿なガキは。 それに付き合っている自分はもっと馬鹿な家来か、奴隷か? 足蹴にされた、むしろ馬か? それとも、その辺に生えている雑草がいいところか。 「どこに行くんだ。」 結局三井の足を避けて立ち上がり、訊ねてしまう。 口を尖らせていた三井が見る間に目を輝かせた。 「適当に走らせろ!」 ベッドから飛び下りるような勢いで降り、二人分の上着を拾って扉へ駆けていく。 鉄男はバイクの鍵を取り、三井を追っていった。 これは、あれだな。 ペットと飼い主だな。 どちらがペットでどちらが飼い主なのか、鉄男にはどうしても判断がつかなかった。 |